親愛なる先生（2）

小学6年の時から塾に通っていた。
それまでの僕は、勉強というものが好きではなかった。
当初、通いたい塾があった。
しかし、入塾試験で落ちてしまった。
そこで、仕方なく行きたかった塾のライバル塾に通うことになった。
そこの塾は正直、県内では有名な塾ではあったが、他の県内有名塾に比較して、劣っている印象であった。
事実、実績面では、明らかに負けていたのだ。
しかし、運命とは不思議なもので、僕は中学卒業まで、そして大学の時のバイトでその塾とは付き合いが続くことになる。
そこの塾ではクラスが5段階に分かれていた。
僕は勿論、入塾した時点では最下層（あえて失礼な言い方）クラスであった。
カースト制で言う一番身分が低いクラス。
僕が入塾した際に塾支店代表だった先生がH先生。
くまのぬいぐるみ、みたいな先生だった。
その先生は英語の先生で、分かりやすく小学生の僕に講義してくれた。
そして、小学6年のある日、僕に英語検定試験5級（笑）の受験を薦めてきた。
気軽に受けて、合格した。
中学生になる時のクラス大編成で、異例の最上級クラス入りを決定してくれたのが、この先生だった。
最下位クラスから最上級クラスに飛んだ例というのは、過去にほとんど例のみない抜擢だったよう。
最上級クラスには小学生の頃から大袈裟に言うと、神童と呼ばれるような優秀な生徒ばかりだった。
最初は場違いなような感じがして、慣れるまでが大変だった。
H先生は僕の勉強への意欲を最初に見出してくれた先生なのだ。

追伸
最上級クラスの面々の多くは後に、一流大学に入っている。
また、この塾生活の中で、僕たちの代（クラス）は数々のお馬鹿伝説を作ることになる。その話は、いずれ。