ISBN:4167614014 文庫 藤原 伊織 文藝春秋 2000/11
藤原伊織さんのすばる文学賞受賞作である表題作+3作の短編集。
・「ダックスフントのワープ」は哲学的な話。内向的な主人公とマリ。そして、心を病むマリの母親、マリの教師。無機質な雰囲気の中に、人間的な温もりがたっぷり含まれているという世界観です。しっかり読みながら考えていかないと作品の本質が捉えづらい話です。
・「ネズミ焼きの贈り物」は、ダックスフントの主人公同様に自分自身を客観的に冷静に、否、あまりにもクールにみている。
登場人物千代の心の闇を理解しながらも、クールに徹している。そして、最後には自分自身にさえも・・・。主人公がネズミ捕り機から飛び出し燃えるネズミと重なります。時間がもたらす変化の必然性といった哲学的な内容を内包した作品。
・「ノエル」は4作品の中で僕にとっては最も難解な作品。ノエルによるミーアンの破壊は、気付かない内に行われる過去との決別なのでしょう。解釈が色々とできそうな作品。
・「ユーレイ」も色々と謎を残す作品。とはいえ、ユーレイが20年間探していたものは・・・「※※※※(ネタバレになるため伏字)」だったんですね・・・。ストーリー的には短いなりによくできた作品。

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